東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻
比較惑星学|Comparative Planetology
比較惑星学とは、単にいろいろな惑星の観測結果や理論計算結果を比較して議論するものではありません。比較すべき第一の惑星は、当然のことながら我々の住む地球です。なぜ地球が水や生命に満ちあふれた惑星なって我々自身が今存在しているかを答えることが究極の目的です。地球の生い立ちや歴史を知ることが我々にとって非常に大きな関心事であることは言うまでもありません。しかし、地球のみを見ていても、地球の深い理解に至ることは難しいです。例えば、日本という国を知るためには、外国を研究することが非常に有効であるのと同じです。近くの惑星が地球とどんな理由でどのように異なっているかを知ることは、地球の本質を理解することに繋がります。当研究室では、地球を理解するために様々な惑星や衛星の研究を行っています。研究テーマは以下のように多岐にわたっています。
天体衝突 | Celestial Collision
天体衝突は過去から現在において、我々の太陽系において普遍的に起きています。その規模は星の歴史を大きく変えるようなものから、ミクロンサイズのものまで大小様々です。我々の地球を例に挙げてみても、天体衝突は月の形成(ジャイアント・インパクト説)、生命の起源、恐竜の絶滅などに影響を与えたと考えられています。
タイタン | Titan
タイタンは、1655年、3月に天文学・物理学者ホイヘンスによって発見された土星系最大の衛星である。その大きさは惑星である水星よりも大きく、直径にして5150 km もある。また、タイタンは地球と同じく窒素を主体とする分厚い大気をもち、地表面での大気圧は地球の1.5倍(1.5 bar) にもなる。
火星 | Mars
太陽系に数ある惑星の中でも、地球のとの最も直接的比較が可能な惑星が火星です。現在の火星は極寒で乾燥しきった惑星であるが、今から30億年以上昔には河川や湖ないし海を持った温暖湿潤な表層環境を持っていた可能性があります。本当にそのような温暖湿潤な気候があったのか、もしあったとしたら何故それは長続きしなかったのかなど、火星についての疑問は尽きません。
小惑星 | Asteroids
地球の水はどこからやってきたか?水は生命を育むのに重要な存在です。C型小惑星は水や有機物を多く含み、地球の水の起源に深く関係すると考えられています。はやぶさ2ではC型小惑星リュウグウで分光観測、サンプルリターンを行うことにより、地球の水の起源に迫ろうとしています。
月 | Moon
月の起源と進化は、地球の起源と進化を理解する上でどうしても避けて通れない問題です。また、惑星探査をするためには、最も地球に近い星である月にまず行く必要があります。月に行く技術なしに火星や金星に行くことは大変困難です。月は惑星科学、惑星探査において、理学的にも工学的にも通り過ごすことができない天体なのです。
惑星大気 | Planetary Atmosphere
金星は可視光では白く輝くばかりで何も特徴を見ることはできません。しかし、紫外光では硫酸の雲が作る模様を捉えることができます。この硫酸の雲は非常に厚く、ほとんどの波長の電磁波を吸収するか跳ね返してしまいます。そのため、長らく金星固体表面の観測は困難でした。しかし、レーダー電波は厚い雲層を貫通して表面の様子を捉えることができます。
氷衛星 | Icy Satellites
準備中